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川越市 水上製本所

コンセプト

大量生産から差別化生産の時代へ

大量生産から差別化生産の時代へ

大量生産から差別化生産の時代へ

 株式会社ジーブックは平成八年より製本所として、大手メーカーや学校の教科書などを生産。しかしデジタル化の波とともに本は電子書籍へと移り変わり、製本文化がどんどん薄れていくことに危機感と無念さを日々感じていました。

 そんななか二年に一度行われる印刷・製本の見本市を訪れた私は、機械が展示されている見本市の空間にも少々疑問が湧きました。そもそも印刷や製本の機械を使用して「何を作るか」が大切にもかかわらず、機械がフューチャーされるなんてちょっと変だと感じたのです。

 しかしそこの見本市で出逢った、JOCがプレゼンテーションに使用した和綴じ本や、数々の有名企業のデザインを手掛ける原研哉さんの和紙を使用したパンフレット。これらの作品が水上製本所をオープンさせるきっかけとなったのです。

 あまりにも素晴らしい作品に衝撃を受け、見本市から帰ってきた後もそれらの作品や手漉き和紙のことが頭から離れず。その後、見本市で見た展示品をもう一度見せてもらうこととなりました。
同時に手製本の勉強もしていた私は、製本技術と紙で大量生産ではない何かをしたいと考えるようになったのです。

 

 

欧州のルリユールと日本の手製本

欧州のルリユールと日本の手製本

 ルリユール(relieur)とはre(もう一度)lieur(綴じる)という言葉であり、書籍を綴じることを意味します。ヨーロッパでは古くからこのルリユールの文化が根付いており、仮綴じもしくは未綴じの状態で購入した書物を、ルリユールデザイナーが装丁を施すといった方法が取られていました。

 これは現代のように、本が電子書籍に変わることとは真逆の文化。大量生産ではなく差別化生産であるため、本が単なる文字ではなく“マテリアル”として残ります。しかもルリユールは古書を装丁し直すことも可能なため、これからの時代に求められるエコな製本方法でもあるのです。

 手製本の勉強をしていた私はこのルリユールに非常に興味を持ったのですが、色々と話を聞いてみると、ヨーロッパのペーパーアーティストの間でも和紙が話題になっているとのこと。見本市で出会った和紙とルリユール文化をどうにか融合できないものかと、迷う日々が続いたのです。

 

 

沢山のきっかけが重なって開店した「水上製本所」

沢山のきっかけが重なり、開店へ

 最初は和紙というマテリアルをどんな商品に変えたら良いか非常に悩みました。試行錯誤するなかで、「油取り紙を和綴じにしてみたら?」と女性社員のアイデアから出来がったものが、水上製本所最初の商品。日本で初めての和綴じと和紙を使用した油取り紙だったのです。

 そしてその油取り紙が、川越の美術館のお土産品として取り扱われることが、川越の方々と繋がるきっかけに。現在「水上製本所」が入る古民家も、この繋がりをきっかけに紹介してもらいました。

 手製本と古民家は似たところがあり、手を加えることで長く受け継ぐことのできる日本のエコ文化。小江戸川越の古き良き町並みを楽しみたい旅行者に、きっと当店の佇まいは気に入っていただけるはずです。

 「水上製本所」は日本古来の製本文化と和紙をもって、日本文化が色濃く残る川越を盛り上げていきたいと考えております。

 

 

和装本製本の作業風景

みなさまの製本屋「水上製本所」

 ルリユールしかり、そもそも製本は誰もが楽しめるものです。しかし工場での大量生産の波が、製本と個人を遠ざけてしまったのではないでしょうか。

 「水上製本所」では、一冊から製本が可能。もちろん古くなった書籍の修理や増頁なども行っております。
なかでも、和紙とともに日本古来の文化である着物地を使用したオリジナル製本が人気かつおすすめ。
 ご家族の大切な着物をタンスのなかに眠らせておくのではなく、アルバムや記念本の表紙に使用してみてはいかがでしょうか。

 

「手で作るものは生き残る」をコンセプトに、
お客様のアイデアと当店の製本技術で、
新しい何かを生み出しましょう。